ディア・ファミリー ぜひ映画館で観てほしい!涙でスクリーンが見えなかったところも…それくらい演技がいい!!大泉洋、菅野美穂、福本莉子、川栄李奈、みんなにありがとうを言いたい



ディア・ファミリー

監督/月川翔
君の膵臓をたべたい(17)
響 -HIBIKI-(18)
君は月夜に光り輝く(19)

脚本/林民夫
永遠の0(13)
空飛ぶタイヤ(18)
糸(20)
護られなかった者たちへ(21)
ラーゲリより愛を込めて(22)

原作/清武 英利(きよたけ ひでとし)

出演
大泉洋
菅野美穂
福本莉子
新井美羽
川栄李奈
有村架純
松村北斗

心臓カテーテル、IABPカテーテルを医療知識ゼロから作り上げた坪井宣政(つぼい のりまさ)と娘、佳美(よしみ)をはじめとした家族の物語

原作小説はドキュメンタリー小説と言ってもいいほどの無骨な内容でありながらも、脚本家、林民夫により見事な作品に仕上がっている。

Story
生まれつき心臓疾患を持っている次女・佳美のために人工心臓を作ることを決意する坪井(大泉洋)とその妻(菅野美穂)。

娘たちも応援するが、なかなか医大などの協力を得ることはできない。頼み込み続けた先に待っているのはさらなる難題であり、坪井の思いは着地点を見いだせないほどの絶望感に包まれる。
そんな父親の姿を見て、次女の佳美(福本莉子)は
「私の命はもう大丈夫」
と父に声を掛ける。
そして新しい目標を見つけるのだが……

上映中の80%でじわりとし続けた
涙が止まらないうちに次の胸打つシーンが描かれる

それが純粋に娘を思う気持ちであったり、家族を思う気持ちであったり。本気で取り組んでいるからこそ、心動かされる人たちへの共感でもある。

医師を目指したものの、現実に振り回されている医師たちが、本懐を思い出させるのは、坪井(大泉洋)が本気だからだ。

彼の本気に寄って多くの人が動き出す。

しかしそこにあるのは
娘を救いたい一心
それだけ。

それに大きな壁になるのが、「人の命を救う可能性」よりも「体裁やプライド。自己保身」を第1とする教授。

このあたりに対しても映画のラスト前にスカッとさせてくれる心地よい展開もいい

主演の大泉洋はかなり当たり役かもしれない
本人も娘を持つこともあって、役にはかなり入り込んでいたのではないかと思う。

娘を病気で失うことが判ったとしても、佳美との約束のために邁進する姿を娘に見せる。
そばにいてやれないことに対しても、きっと心の何処かで謝っている気持ちがあったであろうその複雑な心境の演技は熱を持って演じてくれている。

菅野美穂の支え続ける役も素晴らしい
夫た選んだ道を支える姿が頼もしくも美しいのだ。

娘たちの明るさと仲の良さは、この夫婦のあわせ鏡だとも言える

そして福本莉子
運命を受け入れて、父親の肩をもみながら、父親に新しい道筋を示すあのシーンは涙なしでは観られないシーン。
その淡々とした中に、優しさを出せる演技

近年でも薄幸な役があった彼女だが、その経験が見事に生かされていると言えるだろう

川栄李奈もいい
家族の中で一番リアリストな長女でありながら、優しすぎる姉を演じている。彼女の「次だよ、次」に坪井夫妻は救われたことだろう。

そして3女の寿美(すみ)役の新井美羽。天真爛漫な雰囲気と、気を使い続ける親と姉に代わって、妹らしい甘えた感を出す
彼女がいたことで、よんちゃんが姉として生きがいを持てたことだろう。

これは病気で娘を亡くす家族の悲しい物語ではない
彼女が生きるために家族が大きな行動を起こした、ファミリー映画であり
前向きになれる1本

オリジナル要素として加わったのが、有村架純演じるメディア取材の部分だが、これが蛇足と感じる人もいるかも知れない

しかし、あそこに含まれているのは、
誰かのために!と願ったよんちゃん(佳美)の思いが伝わり、つながり、命を救っている…ということを明確に表現するよい演出だったと思うし、脚本の林さんから、モデルとなった坪井さんへの感謝の気持ちなのかもしれない…と思うのだ。

もしかしたら、監督か脚本の関係者の方がIBPAカテーテルで命が救われたのかもしれない…

もしも自分がその監督や脚本という立場で、関係者がIBPAカテーテルで救われたのであれば、絶対入れたいと感じた演出だからだ

その一方で、見せつけられる現実としては
日本の医療制度は素晴らしいが、医者の中にある覇権争い
A教授がNoといったら、何もできない
なにも進まない…という、悪しき慣習ともいえる、しがらみ

医者の本懐について本当に考えてもらいたい

そしてもう一つ
日本のモノづくりへの支援やサポートが行き届いていない。ということ。

このモノづくりのサポートがもっと手厚いものであれば、本当の人工心臓の開発が違ったものになっていたかもしれない…
と感じずにはいられない部分もある

いずれにしても、2024年の中でももっとも涙した映画
ぜひ、映画館で観て欲しい作品です。

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